周産期
周産期医療体制
当院では、2018年に新築されたB棟におきまして一般産科病棟・母体胎児集中治療室(MFICU)・新生児集中治療室(NICU)を一つのフロアに集中整備し、総合周産期母子医療センターをオープン致しました。ここでは、24時間体制で母体および新生児搬送の受入体制を有し、正常妊娠はもとより、異常妊娠、合併症妊娠、胎児・新生児異常などリスクの高い妊娠や、高度な新生児医療に対する総合的な周産期医療を提供致しております。
分娩取り扱い実績
分娩数は、2014年5月に産科専用病棟を開設して以来、年間500件から漸増傾向で、現在では600件を超えております。このうちハイリスク分娩がおよそ8割を占め、地域連携システムによる救急搬送は年間100件を超えております。
特色
ハイリスク妊娠の管理
当院では切迫流早産、妊娠高血圧症候群、胎盤位置異常、子宮内胎児発育不全や胎児先天性疾患などのハイリスク妊娠を多数ご紹介していただいております。
超音波検査だけでなく、必要に応じて3D-CTやMRI検査などの画像診断を積極的に導入し、診断技術の向上に努めております。 また当院では大学病院の特徴を生かし、様々な合併症をもった妊婦さんにも対応できるよう、内科、外科、麻酔科、放射線科、そして小児科、小児外科をはじめとするNICU(新生児集中治療室)のスタッフとの連携を強化し、全ての妊婦さんに対し安全かつ安心な出産(経腟分娩および帝王切開)や育児をサポートすることが可能な診療体制の構築を図っております。
出生前診断
専門医による超音波検査やNIPT外来での遺伝カウンセリングを行っており、必要に応じて母体血を用いた出生前遺伝学的検査(Noninvasive prenatal genetic testing:NIPT)や羊水を用いた遺伝子・染色体検査を行っております。
重篤な先天性疾患や遺伝性疾患に罹患している可能性がある場合には、胎児精密超音波検査や他の画像診断を実施するとともに、次世代シーケンサー、マイクロアレイなどの先端的遺伝子・染色体解析により出生前診断を行っています。
NIPTは妊娠10~16週に採血を行い、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーという染色体疾患についての確率(陽性、陰性、判定保留)を計算する出生前遺伝学的検査の一つです。NIPTを希望される方は、周産期専門外来(NIPT外来)を受診していただく必要があります。
看護体制
産科病棟のスタッフは助産師を中心として編成されている強みを生かし、助産師外来や フリースタイル分娩、母乳相談など妊娠中や産後のお母さんの悩みにも気軽に相談できる体制となっています。
当大学病院は全国的に見ても高い水準の周産期医療を提供できていると考えていますが、一方、近年の出生数の減少と晩婚化やそれに伴う高齢出産は今後も増加していくものと推測されます。このような状況であるからこそ、安全かつ安心な出産をご家族と共有できるように、教室員一同、一丸となって取り組んで参りたいと考えております。