内視鏡手術

婦人科 内視鏡手術

婦人科内視鏡手術の種類には

  1. 腹腔鏡手術
  2. 子宮鏡手術
  3. ロボット支援下内視鏡手術

の3種類があり、我々の施設では全ての術式に対応することが可能です。
以下では、この中で実施頻度が最も高い腹腔鏡・ロボット手術について概説します。

腹腔鏡手術・ロボット手術の特徴

30年以上前までは婦人科の手術治療は開腹手術と腟式手術のみでした。
ところが、1990年前後より日本国内外で腹腔鏡手術が試験的に開始されたことが端緒となり、腹腔鏡手術は 「からだに優しい手術(低侵襲手術)」 として日本国内の限られた施設で実施されるようになりました。

現在、産婦人科疾患に対する腹腔鏡手術は、低侵襲性と整容性から社会的ニーズも高いため、多くの施設、そして疾患に対して導入されていますが、従来の開腹手術に比べ手術難度が高いため、対象や適応については各術者や施設で異なっているのが現状です。

当産婦人科では、1994年に腹腔鏡手術を開始以降、安全な運用に努めるとともに、これまで数多くの手術実績を集積してきました。

産婦人科疾患に対する内視鏡手術は、子宮筋腫等の良性疾患に対する腹腔鏡下手術が1995年に保険収載されたのに対し、子宮体がんに対する腹腔鏡下手術は2014年に、子宮頸がんに対する腹腔鏡下手術は2018年にその適用が認められたばかりであり、その実施にあたっては習熟した婦人科腫瘍専門医と内視鏡技術認定医の下で実施されることが求められています。

当産婦人科では、こうした専門医師を複数名配置しているため、先進的かつ安全な腹腔鏡下手術を提供していけるものと考えています。

一方、近年の技術革新により、従来の腹腔鏡手術を超える高精度な手術操作が可能な手術用ロボットが開発され、世界的にその運用が開始されています。当産婦人科では、2012年にロボット支援下内視鏡手術を開始し、これまで婦人科良性疾患(子宮筋腫、等)に対する子宮全摘術や子宮筋腫核出術、婦人科悪性疾患(子宮頸がんと子宮体がん)に対する根治術に対する実績を積んできました。
そのうち、「婦人科良性疾患に対するロボット支援下子宮全摘術」、「子宮体がんに対するロボット支援下子宮悪性腫瘍手術」が2018年に、「骨盤臓器脱に対するロボット支援下仙骨腟固定術」が2020年に保険収載されています。

当産婦人科は、現在主流なda Vinci Xiシステムや最新モデルのda Vinci SPシステムによるロボット手術を国内で初めて実施する等、常に最先端のロボット手術に取り組んできました。また、婦人科腫瘍専門医や内視鏡技術認定医に加え、ロボット手術ライセンス取得者やプロクター(指導医)が複数名在籍する先進施設であるため、高度で安全なロボット手術が提供可能であると考えています。

腹腔鏡手術・ロボット手術の適応疾患

婦人科良性疾患

  1. 子宮筋腫、子宮腺筋症
  2. 良性子宮付属器(卵巣)腫瘍
  3. 子宮内膜症
  4. 不妊症(子宮付属器癒着、卵管閉塞、奇形)
  5. 骨盤臓器脱(子宮脱、他)
  6. 異所性妊娠など

婦人科悪性疾患

  1. 子宮体がん(早期)
  2. 子宮頸がん(早期)
  3. 卵巣がん(一部)

腹腔鏡手術の実際

一般的な開腹手術は、15cm前後の皮膚切開で行われますが、腹腔鏡手術やロボット手術は皮膚切開創が開腹手術よりも短小なため、美容的にも優れており、手術後の疼痛も開腹手術に比べ軽いのが特徴です。
そのため、術後の回復が早く、入院期間の短縮と早期での社会復帰が可能なことが最大の利点です。

腹腔鏡手術は、臍部(おへそ)ないしはその周囲から3~30mmの小切開を2~5箇所に加え、直径5~10mmのスコープを腹腔内に挿入し、テレビモニター上に映し出された映像を見ながら鉗子という専用手術機器を操作する手術です(上図)。カメラスコープは電子内視鏡を、また手術野を映し出すモニターはハイビジョンを用いることにより鮮明な視野で、高性能なエネルギー供給装置(組織の切開・止血凝固を行う機械)を駆使し手術を行っています。

ロボット手術は、腹腔鏡手術と同様に臍部(おへそ)ないしはその周囲から8〜15mmの小切開を3〜5箇所に加え、直径8mmカメラスコープを腹腔内に挿入して手術を行いますが(上図)、術者はコンソールと呼ばれる手術操作用機器からペイシェントカートに接続されたロボット専用鉗子を操作することで手術を行います(下図)。

ロボット手術では、3D画像による鮮明な術野が得られ、多関節機能を有する広い可動域と手振れ補正等のコンピュータ制御により安全で精緻な手術操作が可能となります。

腹腔鏡手術のFAQ

Q.保険は適応でしょうか?
A.一部の手術では先進医療や自費診療となることがありますので、手術を決定する前に担当医にご相談ください。

Q.退院は? 仕事への復帰は?
A.退院は術後経過が良好であれば術後4~7日目です。
仕事への復帰は、婦人科良性疾患であれば退院後約1~2週間で可能です。婦人科悪性疾患については、術後治療を含めて担当医にご相談ください。

Q.腹腔鏡手術やロボット手術は小さな手術ですか?
A.いいえ、開腹手術と内容は一緒です。手術時間は卵巣/卵管の手術で約 2時間、子宮筋腫核出術や子宮全摘術では3時間ほどかかります。また、子宮体がんや子宮頸がんでは5~8時間ほどかかる場合があります(実際の手術時間に加え、手術室での準備や全身麻酔の導入・覚醒に1~2時間ほど必要です)。また、子宮・卵巣周囲の骨盤内に癒着があると手術時間は約1.5~2倍に延長します。繊細な手技を駆使して行う手術なので、開腹手術よりは手術時間は延長しますが、出血量や術後疼痛が少ないのが特徴です。

Q.この病院には専門の医師はいますか?
A.我々の施設には、日本婦人科学会腫瘍専門医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医、日本婦人科ロボット手術学会プロクター等が複数名在籍しています。したがって、当施設では質の高い、高度な先進的内視鏡手術・ロボット手術を提供できるものと確信しております。

Q.腹腔鏡手術・ロボット手術の実績は?
A.腹腔鏡手術は1994年に、ロボット手術は2012年より開始しており、これまで多くの手術実績があります。腹腔鏡手術における単孔式手術や子宮腺筋症病巣切除術、婦人科ロボット手術などの先進的な手術を国内でもいち早く導入してきました。

Q.腹腔鏡手術はすぐできますか?
A.腹腔鏡手術やロボット手術の希望者は多く、当院での手術は大変混み合っております。ご迷惑をかけますが、良性疾患の場合、本手術は約3〜6ヶ月待ちの状況です。悪性疾患の場合は要相談となります。ご希望の方は早めに受診していただくことをお勧めします。
岡崎市の藤田医科大学岡崎医療センターでも腹腔鏡手術を受けて頂くことが可能です。

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